相続手続きにおいて被相続人(お亡くなりになられた方)の遺言書があるかないかによって手続きが大きく異なってくること場合があります。
遺言書がない場合は、通常は次の流れで相続手続きを行います。
①相続人特定調査②相続財産の特定③相続人による遺産分割協議④相続財産の分配
しかしながら、このような場合は相続手続きが煩雑化してしまう場合があり、遺言書があれば相続手続きの負担を軽減することできます。
・相続関係が複雑化している
・相続人間の遺産分割協議がまとまらない
・相続人の判断能力が低下している
・相続人が行方不明、音信普通である
(例)
・甲土地と乙建物の登記名義人であるAが死亡した場合
相続人が高齢である配偶者であるB及び子C、子Dにおいて、配偶者であるBの判断能力が低下している場合は遺産分割協議を行うことができません。
そのため、甲土地と乙建物を売却希望であったとしても、その前提となる相続登記を行いえず、不動産売却手続きを進めることができません。
この場合、Bに対して後見等の開始審判の申立てを家庭裁判所に行う必要があり、相応の時間と費用がかかります。
→Aから子CやDへ甲土地と乙建物を相続させる旨の遺言書があれば、Aから受遺者(C、D)への相続登記を行い、不動産の売却を進めることができます。
遺言書は公正証書がお勧め
遺言書の作成方法は複数ありますが、一番のお勧め方法は公正証書遺言となります。
公正証書遺言は、公証役場で原本が保管されるため紛失の恐れがなく、相続開始後の家庭裁判所における検認手続きが不要となり相続手続きをスムーズに進めることができます。
費用面からみても公正証書遺言の作成費用と相続後のトラブル解決に要する費用を比較しても前者の方が安く済む場合が大半です。
大切なご家族やお子様のために
重要なのは、早めに対策をすることです。
相続はいつになるのかは誰にもわかりません。
しかしながら、判断能力が低下してからでは対策できない場合があります。
対策のできるうちに、大切なご家族やお子様のためにもお早めに遺言書の作成を検討されてみてはいかがでしょうか。