遺言書の作成割合は増加してきておりますが、日本においてはまだまだ少ないようです。
これには「遺言書」というと遺書と混同されて暗いイメージを持ちやすいことや相続トラブルになることがない、自分には財産が少ないからといった思い込みがあること等が理由として挙げられるようです。

遺言は相続トラブルの回避だけに限られず、残された大切なご家族やお子様、人生に関わった人達への感謝の気持ちや思いを伝えるために重要です。

このような場合は特に遺言書が必要

夫婦間に子供がいない
→被相続人(亡くなられた方)の配偶者の他に、その方の兄弟姉妹が相続人となる可能性があります。
この場合、配偶者と兄弟姉妹で遺産分割協議をする必要があります。

内縁関係にある方に遺産を残したい
→内縁関係にある方には相続権がありません。
遺言書を残さなければ財産を渡すことができず、相続人の遺留分に配慮した内容とする必要があります。

・介護をしていた方に相続権が無い
→生前にお世話をされていた方に財産を渡したい場合は遺言書を作成する必要があります。

帰化により日本国籍を取得している
→相続手続きにおいては帰化前の国の戸籍謄本等の取得も必要となり手続きが煩雑化します。
相続人の負担を軽減させるためには遺言書を作成する必要があります。

相続人同士でトラブルとなる可能性がある
→相続人間で仲が良くない場合に被相続人の思いや財産の配分基準を示すことで相続人同士の遺産分割協議がまとまりやすくなる可能性があります。

音信不通の相続人がいる
→遺産分割協議は相続人全員が参加する必要があります。
このような場合は不在者財産管理人を選任する必要があり、相当期間と費用がかかります。

遺言書は公正証書がおすすめ

遺言書を作成する場合、主に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」の2つがあります。

「自筆証書遺言」
被相続人自身で作成することができる遺言書です。
遺言書は法定の内容の記載が必要であるため、不備がある場合に無効となったり内容に疑義が生じる可能性があります。
また、家庭裁判所において遺言書の検認手続きが必要であるため、相続人に負担がかかります。

「公正証書遺言」
作成につき公証人による内容の確認や第三者による立ち会いが必要となるため、適式な方法で作成することができます。
遺言書の原本は公証役場で保管されるため、原本の紛失や破棄の恐れがありません。
また、家庭裁判所において遺言書の検認手続きが不要であるため、相続手続きをスムーズに進めることができます。

公正証書遺言の作成において事前に推定相続人の特定や法律・税務等を考慮した上で内容を検討する必要があります。
遺言書作成をお考えの方は法律事務の専門家である司法書士へご相談下さい。