遺言者が一度作成した遺言の全部又は一部を取消しすることも可能です。
ただし、取消す場合は遺言の方式により明白な意思表示により行わなければなりません。
また、前の遺言と後の遺言が抵触する場合は、その抵触する部分については後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。(民法1023条1項)
遺言の撤回(民法1022条)
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。
取消し(撤回)の期間制限等
遺言の取消しにおいては、作成から何年以内といった期間制限はなく、取消しは本人である遺言者に限られており、代理人による撤回はできません。
また、遺言により遺贈を受ける者の同意を得る必要もありません。
遺言書を取消す場合は、公正証書遺言によって取消しを行うことをお勧め致します。
公正証書遺言は、公証人と専門家と証人2名による立会いのもとで確認を行うため、後の遺言の内容について、相続人の間でトラブルになる可能性が極めて少なくなります。
公正証書遺言(民法969条)
公正証書によって遺言をするには、証人二人以上の立会いがあり、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人が遺言者の口述を筆記すること等が必要。
このような場合は特に遺言書が必要
・夫婦間に子供がいない
→被相続人(亡くなられた方)の配偶者の他に、その方の兄弟姉妹が相続人となる可能性があります。
この場合、配偶者と兄弟姉妹で遺産分割協議をする必要があります。
・内縁関係にある方に遺産を残したい
→内縁関係にある方には相続権がありません。
遺言書を残さなければ財産を渡すことができず、相続人の遺留分に配慮した内容とする必要があります。
・介護をしていた方に相続権が無い
→生前にお世話をされていた方に財産を渡したい場合は遺言書を作成する必要があります。
・相続人同士でトラブルとなる可能性がある
→相続人間で仲が良くない場合に被相続人の思いや財産の配分基準を示すことで相続人同士の遺産分割協議がまとまりやすくなる可能性があります。
・音信不通の相続人がいる
→遺産分割協議は相続人全員が参加する必要があります。
このような場合は不在者財産管理人を選任する必要があり、相当期間と費用がかかります。
遺言書があることで相続に関する無用なトラブルを回避できるだけに限らず、相続に関する手続きをスムーズに進めることができ、相続人の負担を軽減することができるため、遺言書の作成は非常に重要です。
相続対策で重要なことは対策のできるうちに、早めに対策をすることです。
遺言書作成をお考えの方は法律事務の専門家である司法書士へご相談ください。