独身で子どもはおらず、両親はすでに他界しており、ご兄弟もいないような場合、法定相続人がいない状態となります。
このような場合、その方の不動産や預貯金等の財産は借金等の負債がなければ、全て国のものとなります。

相続人がおらずに国庫に帰属する遺産額は年々増加しており、2022年においては約768億円にも上るようです。

財産が国庫に帰属するまでの流れ

残された財産は、被相続人(お亡くなりになられた方)の債権者、特別縁故者等の利害関係人の申立てにより、家庭裁判所で選任された相続財産清算人がその手続きを進めていきます。

相続財産清算人は、被相続人に相続人がいないかの調査を行い、債権者への支払をし、未払いの公共料金等の清算をします。
それでも残余の財産がある場合は、被相続人の生前に身の回りの世話をしていた等の特別縁故者と認められる方がおり、その方からの相続財産分与の申立てがなされると、家庭裁判所の判断に基づいて相続財産を分与が行われます。
特別縁故者への財産分与があっても財産が残っている場合は、その全てが国庫に帰属します。

被相続人の遺言書があれば

被相続人の遺産の帰属先の指定がされた有効な遺言書があれば、原則として相続財産清算人を選任する必要はありません。
ただし、遺言書に記載漏れの財産が確認されると相続財産清算人を選任する必要がある可能性があります。

相続人ではない特定の親族やお世話になった人に財産を託したい場合や特定の団体に寄付をしたい場合等はご自身の意思を実現するために遺言書を作成しておく必要があります。
遺言書の作成の際は遺言執行者(財産の分配等遺言の内容実現する人)をあらかじめ選任しておくと遺言の執行がスムーズになります。
遺品整理、病院等への支払い、葬儀、死亡届等の事務をお願いしたい場合は、生前に特定の方と死後事務委任契約を締結しておくことが考えられます。

ご自身の財産をご自身の意思で、誰にどのようにつないでいくかを健康なうちから考えておくことは必要ではないでしょうか。

相続対策で重要なことは対策のできるうちに、早めに対策をすることです。
遺言書作成をお考えの方は法律事務の専門家である司法書士へご相談ください。